お久しぶりです、T.F. です。 前回のブログから半年以上経ちましたが、その間に世界はすっかり変わってしまったようですね。半年前の技術やツールがあっという間に古くなり、まさにシンギュラリティの入り口に立っていることを実感して、胸が高鳴る毎日を過ごしています。
さて、半年ぶりに筆を執るにあたって、最近ずっと考えていたテーマがあります。 「AIエージェント時代のエンジニアの仕事と価値」についてです。
なお、今日の内容は、会社見解ではなく個人的な思いとなります。
1. 歴史の逆流 ―― AIがもたらす「人間への回帰」
これまでエンジニアの世界では、「エンジニアの本分は課題解決であり、技術はそのための手段である」という言葉が、一つの真理として語られてきました。私自身も、技術を磨くことは課題を鮮やかに解くための鍵だと信じてきました。
しかし、人類の労働史という大きな時間軸で眺めてみると、今、私たちは劇的な転換点に立っていることに気づきます。
かつて狩猟採集民だった頃の人間は、自然と対話し、五感を研ぎ澄ませ、生きるための「問い」を自ら立てる、極めて人間らしい営みの中にいました。それが農業革命、そして産業革命を経て、私たちの労働は効率化の名の下に高度化・複雑化し、皮肉にも人間は「大きなシステムの一部(歯車)」として機能することを求められるようになりました。決められたロジックを正確に実行する。その過程は、ある種、人間が機械の役割を肩代わりしてきた歴史だったのかもしれません。
ですが今、このAI革命によって、その流れが劇的に逆流し始めています。「どう実行するか(How)」という領域をAIエージェントが引き受けてくれるようになった。これは仕事がなくなるという話ではなくて、むしろ「人間らしさを取り戻すチャンス」なんだと思っています。解決策という手段が一般化した今、私たちの本分は「課題解決」から「課題発見」へと、より人間らしい領域へ進化しようとしています。
2. 問いは日常に潜んでいる ―― 「当たり前」を疑う感性
では、その「問い」とは、何か高尚で難しいものなのでしょうか。私はそうは思いません。問いは、私たちのすぐ側に、無数に転がっています。
例えば、私たちが毎日交わす挨拶。なぜ仕事が終われば「お疲れ様でした」と言うのでしょうか。もちろん労いの言葉ですが、もっとポジティブな言葉があってもいいはずです。「今日も最高でした!」ではダメなのか。その解が正しいかなんて誰にも分かりませんが、そもそも「問いを立てること」自体はタダなんです。
そもそも「常識」と呼ばれているものの正体は、かつて誰かが立てた当時の問いに対する、その時代なりの「最善の解」だったはず。時代が変わり、AIという新しい変数が加わった今、その解が今も最適である保証はありません。 だからこそ私は、日常の小さな違和感をスルーしないようにしたい。技術という枠組みから一歩外へ出て、あえて「門外漢」として世界を眺めてみる。そうした小さな「越境」を繰り返すことで、当たり前の景色の中に「なぜ?」というヒビを入れる。そのヒビから、AIには見えない「新しい問い」が顔を出すのだと考えています。
3. 論理は「判断」を支え、物語は「人」を動かす
良い問いを見つけたとしても、それだけで世界が変わり、システムが動き出すわけではありません。 銀行という極めて論理的で厳格な組織の中にいると、意思決定には膨大なデータと緻密な理屈が求められます。もちろん、それは不可欠な要素です。
ですが、私はこう思います。 異なる役割を持つ多様なメンバーが、最初の一歩を踏み出し、同じ方向へ全力で走るために必要なのは、実は細かな数値ではありません。
それは、「シンプルで、心が熱くなるようなストーリー」です。
人間は本質的に感情的な生き物です。論理やデータは、自分の判断を後押ししてくれる「安心材料」にはなりますが、人を心の底から突き動かすのは、いつだって血の通った「物語」なんだと思います。たとえAIが「これが正解です」という論理的な答えを出したとしても、そこに私が「なぜこの未来に賭ける価値があるのか」という物語を乗せなければ、プロジェクトに命は吹き込まれません。
「このシステムが完成したとき、私たちの景色はこう変わるんだ」 「このビジネスが軌道に乗れば、会社はこう成長できるんだ」 「この技術発展が進めば、世界はこう変わるんだ」
そんな、「信じられる未来」を提示する、ある種、宗教のような力。世界の終末に救いを求めるように、日々の善行を積み重ねるように、誰もが心から納得できる未来を指し示すこと。ロジックはAIに任せればいい。ですが、その解決策に「意志」という命を吹き込み、周囲の熱量を伝染させていくこと。それこそが、これからのエンジニアに求められる「ストーリーテラー」としての役割ではないでしょうか。
4. より「人間らしい」仕事への回帰
AIの台頭は、「人間らしさ」への回帰を強く促してくれているように感じます。 AIが「How(どう作るか)」を引き受けてくれることで、私はもっと、感情やコミュニケーション、そしてストーリーへの共感といった、「人間にしかできない、最も人間らしい仕事」に全精力を注げるようになるからです。
「正解」をいかに速く、正確に出すか。そんな、人間が無理をして機械のふりをしていた時代は、もう過去のものになりつつあります。 コードの行数を競う時代は、もう終わりです。 これからのエンジニアは、そのコードの先にどんな物語を描けているか、その一点で語られるようになるはずです。
私は、単にシステムを設計・開発する人ではなく、技術という言葉を使って「新しい可能性」を紡ぎ出すストーリーテラーでありたい、と思っています。
画面の中のロジックを磨くのと同じくらい、目の前の「人」と向き合い、まだ誰も気づいていない「問い」を探し続ける。そんな毎日を、一歩ずつ積み重ねていきたいです。
というわけで、GMOあおぞらネット銀行では、この新時代の「AI銀行」を共に創り上げる仲間を大募集中です!
当社は「No.1テクノロジーバンク」になるという壮大な目標を掲げ、日々全員で業務に取り組んでいます。技術革新という激しい嵐が吹き荒れ、人類社会という海が少しずつ変化していく今だからこそ、僕たちには「目印」が必要だと思っています。
たとえ海が荒れていても、そこに光り輝く「灯台」のようなビジョンがあれば、僕たちは未来を信じて共に船を漕ぎ続けることができる。私はそう信じています。
最高の問いを見つけ、最高の物語を語り、そして最高の実装をAIと共に成し遂げる。そんなエキサイティングな挑戦をしたい方、ぜひご応募をお待ちしています!
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